Eternalえぼりゅ?しょん!! 第04.5話 恐怖の電話


 遠い遠い昔、異世界はもともと一つの世界であった。いつの頃からか異世界は分裂し、多くの異世界が存在するようになった。
 クッキーを割ると無数の破片ができるように、それぞれの世界の大きさはさまざまであり、なかには魔法が存在する世界や、魔法が認められていない世界もある。
 そして、それぞれの世界は独立した歴史を刻み始めた。その世界の1つに、魔法否認知世界<ミズガルズ>がある。
 魔法否認知世界<ミズガルズ>は、現代社会なので魔法が認知されていない世界。
 なので空路には飛行機、海路には船舶、陸路には自動車や電車を利用し、離れた相手とは電話を使う現代社会。
 この現代社会において「私は魔法使い!」等と言ったら、世間からは白い目で見られてしまう。
 これは、そんな魔法否認知世界<ミズガルズ>を影で守る魔法使いの少年と少女の物語。


 あなたは知っていますか、携帯電話にまつわるある都市伝説『怪人アンサー』。
 それは突然アンサーから電話がかかってきて、難題を訊いてきます。
 「今から、お前の魂はどちらかの神に献げられる。真実を言えば真実の神に献げられ、もし偽りを言えば偽りの神に献げられる」
 どちらを選んでも、答えると死ぬことになります。
 そして、どちらも選ばないと……。

 工藤飛鳥は授業の準備をしていた。すると、飛鳥に朝霧若葉が話しかけてきた。
 「工藤君、今日携帯電話を買いに行くんだけど付き合ってくれる?」
 「うん、いいよ。でも、僕だけでいいの?」
 「ことりは美羽ちゃんと用事があるから行けないって言ってた」
 「分かった。じゃあ、一緒に買いに行こう」
 「ありがとう」
 若葉の表情がいつも硬いのに、わずかながらにほが緩んだ。
 放課後になると飛鳥と若葉は鳳公園のベンチに座り、携帯電話のカタログを眺めていた。
 カタログは1つしかないので肩を寄せ合う形になっている。
 「委員長はどういうのがいいの?」
 「えっと……」
 最後のほうは聞き取れないくらい小さくなった。「工藤君が選んでくれた物ならなんでも」と言ったような気もする。
 「カタログより、現物を見たほうがいいかも」
 「そうね」
 2人は立ち上がり携帯電話屋に向かおうとしたそのとき、若葉の携帯電話が鳴った。
 相手の名前が表示されないので、まだ登録されていない相手のようだ。
 「あれ? 誰からだろう。ちょっとでてみるね」
 若葉が出てみると不気味な男の声が聞こえてきた。
 「今から、お前の魂はどちらかの神に献げられる。真実を言えば真実の神に献げられ、もし偽りを言えば偽りの神に献げられる」
 「何よこれ?」
 「どうしたの委員長?」
 「たぶん悪戯電話。でも、なんだか嫌な感じの声で、気味が悪い」 
 若葉の顔が不安の色に染まる。
 「僕がそばにいるから安心して。委員長になにかあったら、僕が守るよ」
 「ありがとう、工藤君て優しいんだね」
 若葉が安心しきったその時、空間が放電現象の様にスパークした。それと同時に、反射的に飛鳥はかばうように若葉の前に立つ。

 徐々にスパークは人型を作り出し、怪人アンサーが現われた。
 アンサーの姿はグレイのような顔つきで、左右に閉じるまぶたをしている。
 着ているマントはつぎはぎだらけで、まるで畏怖を具現化したように思えてしまう。
 アンサーは若葉を指を指す。
 「そいつは答えられなかった。答えられないのは真実。よって、真実の神に献げられれる」
 「真実の神……? 答え……?」
 アンサーの言葉で飛鳥は瞬時に閃き、自信満々に答えた。
 「僕が変わりに答えるよ。委員長の命は偽りの神に献げられる」
 「え……、工藤君。そんな……」
 飛鳥の解答を聞いた若葉は恐怖におびえた。そんな若葉を飛鳥は励ました。
 「大丈夫だよ、あいつは何も出来なから。もしもの時は、僕が一緒にいてあげる」
 若葉の顔がほのかに桜色に染まった。
 「ありがとう」
 アンサーの手に鈍色に輝く新月刀が現われた。ジリジリと距離をつめる。
 「今から解答どおり、命は偽りの神に献げられる」
 「ちょっとまって、そしたら真実の神に献げられないよ」
 若葉とアンサーは疑問符を付加べた。
 「僕が言ったのは真実。じゃあ、真実の神に献げるべき。でも、偽りの神に献げられない。これって、矛盾だよね」
 アンサーは悔しそうに歯を食いしばる。
 「さあ、どうする?」
 「お前にも質問だ。お前はこれから死ぬことになる。なぜだか、言ってみろ」
 「委員長、ちょっと眠ってて」
 「え?」
 飛鳥は睡眠誘導魔法で若葉を眠らせ、ベンチに寝かせた。
 「答えを言うよ。残念だけど、僕は死なないよ」
 制服から白色の<防御服>に変わる。
 <防御服>のデザインがブレザーに似ているせいか、飛鳥が着ても違和感が無い。
 「答えになっていないな」
 そう言ってアンサーは新月刀で飛鳥に斬りかかった。
 剣<ラクティス>で受け止め振り払い、掌底でアンサーを突き飛ばす。
 互いに間合いをとり、緊迫した空気が流れる。
 2人は同時に斬りかかる。
 アンサーの攻撃は外れ、飛鳥は剣<ラクティス>でアンサーの腹部を突いた。
 しかし、今の剣<ラクティス>には木刀の様なため突き刺すことは出来なかった。
 腹部を押さえ苦しむアンサー。そして、猛禽類の様なするどい目つきで飛鳥を睨む。
 「そんな剣じゃ、私は倒せない。残念だったな」
 アンサーは再び斬りかかり、飛鳥も迎え撃った。
 互いの刃が交えると新月刀が真っ二つに折れ、剣先がアンサーの足元に突き刺さっていた。
 「これは、ストライク・モード。今度は怪我じゃすまないよ」
 飛鳥が剣<ラクティス>を構え直す。先ほどとは違い、剣<ラクティス>に魔力が帯て刃を形成している。
 「大人しく投降するんだ」
 そう言って飛鳥は構えを辞める。
 「お前の命を神に献げろぉー」
 アンサーの爪が鉤爪の様になった。
 2つの影が交錯し、アンサーが倒れた。
 「私が神の生贄か……」
 「君は生贄じゃないよ。だから、安らかに眠って」
 アンサーの体が砂の様に崩れ去った。
 飛鳥は周囲の安全を確認すると変身を解き、眠る若葉の元へ向かった。
 
 若葉が眼を覚ますと飛鳥の顔が眼の前にあった。
 「あれ、私寝ちゃったんだ」
 飛鳥に膝枕をされていたのだ。この状況を理解すると若葉は顔を赤らめ起き上がった。
 「――。わっと、えっと、ごめんね。工藤君、なんだか、迷惑かけて」
 「気にしないで」
 「ありがとう。私の買い物なのに、寝ちゃって」
 「きっと、疲れてたんじゃない? 魘されてたし。そうだ、いつも頑張っている委員長に何かプレゼントするよ」
 飛鳥はさっきの出来事を無かったことにした。若葉を不安にさせない為、魔法の秩序を守るため。
 事件が起こるたびに真実をごまかす。飛鳥はそれが辛かった。
 「ありがとう。だったら、工藤君が選んでくれたストラップがいいな」
 飛鳥の辛い気持ちは若葉の笑顔で吹き飛んだ。飛鳥も笑顔でこたえる。
 「うん、いいよ。でも、大丈夫?」
 「大丈夫よ。さあ、行こう。お店が閉まっちゃう」
 若葉の顔は活き活きしている。
 眩しい笑顔。夕日に映る2つの影が1つになった。


 『第05話 石化の森』につづく

 あとがき
 ここまで、読んでくれて感謝、感激です。
 
 今回登場した、怪人アンサー。
 これは、創作された都市伝説だそうです。
 どうやら、創作者が名乗り出たみたい……。
 
 次のお話には魔法生物『コカトリス』が登場。
 気をつけないと、あなたも石になる!?

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