Eternalえぼりゅ?しょん!! 第06話 謎の老婆


 アーサー・C・クラークの言葉、『充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない』のように、魔法認知世界<ミミル>ではほかの世界の何十年も先を行く科学力、ほとんどの世界の魔法学が集まる世界。
 とうぜん、それらの力を悪用する者は当然現れる。
 魔法が認められていない世界の1つ、魔法否認知世界<ミズガルズ>に魔の手が迫る。
 魔法と科学の力を悪用し秩序を乱そうとしている。
 これは、そんな魔法否認知世界<ミズガルズ>の秩序を影で守る魔法使いの物語。


 鳳学園から若葉が帰宅していると、薄汚れた服を着た老婆にであった。
 「お前さん。悩みがあるねぇ。それも、恋の悩み」
 若葉は老婆の突然話しかけられ戸惑った。若葉はこの老婆と初対面であり、言われたことは図星だからだ。
 「べ、別に、私は恋で悩んでいません」
 「ほう、そうかい。顔に書いてあるんだけどねぇ」
 そういうと、老婆は懐からペンダントを取り出した。中央に虹の様に輝く<七色に輝く石>が埋め込まれており、周りお銀のフレームは彫刻が施されている。
 「これを、お前さんにあげようぉ」
 「いりません。勧誘とかはお断りします」
 老婆の行動を勧誘の類と思った若葉は断った。
 「そういうのじゃないよぉ。ただ、1人でも多くの人を幸せにしたいと願う、儚い老人の思いだよぉ」
 そういわれると若葉は受け取らずにいられなかった。若葉が受け取ろうとすると、老婆は若葉の首にペンダントをかけた。
 「お前さんが幸せになってくれれば、お代はいらないからねぇ」
 「ありがとうございます」
 「いえいえ。幸せになんだよぉ」
 「はい」
 若菜は老婆と別れた。
 老婆から貰った首飾りをつけていると、体が軽くなり、頭もスッキリしていった。
 翌日になり、若葉は老婆に貰ったペンダントを鳳学園にしていった。外から分からないように、制服の下にペンダントトップを隠すと念の入れようだ。
 「おはよう。委員長」
 朝一番で片思いの相手、工藤飛鳥にあいさつをされ嬉しはず。しかし、やけに無機質な声であいさつを返してしまった。
 「おはよう」
 その若葉の態度に飛鳥も、その隣いる蒼衣ことりも戸惑ってしまった。いつもクールな感じがする彼女だが、こんなことはいままで一度もなかったからだ。
 その後も、機械的な行動や無機質な行動が目立った。
 そのせいか、今日一日飛鳥は若葉が気になって仕方が無かった。
 そんな飛鳥に、隣の席に座る蒼衣ことりは話しかけた。
 「飛鳥くん? 若葉ちゃんが気になるんですか?」
 「なんか様子がおかしいなって思ってさ。なんか、ボーとしている時間が長生きがする。悩み事でもあるのかな?」
 「そうですよね。私も気になりますし、私が聞いていましょうか? 女の子同士のほうがいいかもしれませんし」
 「ありがとう、ことり」
 その後、ことりは若葉に話しかけるが、若葉は心ここにあらずで会話にならなかった。そうこしているうちに、下校時刻になった。
 若葉はそのあと、1人でどこかにいってしまった。

 飛鳥が夕飯の買い物からもどると、居間ではフェイト・クラウスと蒼衣美羽が宿題をしていた。
 「フェイト、美羽、ただいま」
 「おかえり」
 「お帰りなさい」
 フェイトと美羽の宿題は、漢字の書き取りのようだ。
 フェイトは飛鳥達が住む魔法否認知世界<ミズガルズ>とは、別世界から来たので漢字で苦戦している。理数系はどの世界も基本が同じなのだが、語学は違うのだ。
 困り果てた美羽とフェイトは飛鳥に、漢字を教えてくれるように頼んだ。
 「ねえ、お兄ちゃん。国語の宿題があるんだけど、手伝ってくれる?」
 「私にも漢字を教えて」
 「別に、かまわないけど」
 美羽は理数系はいつも万点であるが、文系は壊滅的である。希に漢字が読めなくて、文章問題が解けないことがあるくらいだ。
 「勉強が楽にできる魔法があればいいのに」
 「そんな魔法あっても、初めは教わりながらでも努力しなきゃダメだよ」
 飛鳥のいったとおり、そんな都合がいい魔法は存在しない。
 「そうだよ、美羽。努力しないと、そこで終わりだよ」
 美羽が少しふてくされた様に言った。
 「ちぇ。やっぱり努力しないとダメかぁ」
 そんな会話をしながら、飛鳥達3人は宿題を進めていった。
 飛鳥達が宿題をしていると夕飯時になり、ことりが飛鳥の家にやってきた。
 「おじゃまします」
 「お姉ちゃん、先に来てたよ」
 「飛鳥くんは?」
 ことりの質問に美羽が答えた。
 「お兄ちゃんなら、台所にいるよ」
 「じゃあ。私は、手伝いにいって来るね」
 そういってことりは、飛鳥の手伝いに向かった。
 しばらくすると、台所からスパイシーな匂りがしてくると、飛鳥とことりがスープカレーを運んできた。二人が料理を運んでくる姿は、まるで新婚の夫婦のようである。
 「おまたせ、今日はスープカレーだよ」
 「二人とも、宿題を片付けて」 
 飛鳥、ことり、美羽、フェイトの4人で仲良く夕飯を食べることにした。
 父親もいないのは酒屋にお神酒【意味:神社でお供えにするお酒】を、買いに行きそのままお酒を飲んでくるためだ。
 突然電子音が鳴り響くと、すぐに飛鳥は居間にあるテレビの電源を入れた。画面に飛鳥と同じ歳くらいの少年が映し出された。少年の名前は、シリウス・シュトラウス。魔導管理局の職員だ。
 「緊急事態だ。トゥルーデが鳳公園に現われた。明らかに、罠だ」
 本名トゥルーデ・カール・グリム。トゥルーデは様々な異世界で悪行を重ねており、トゥルーデの元には忠実な部下が3人いるそうだ。
 「そうと、分かっててもいかないと」
 「毎回、苦労かけるな」
 「気にしないで。シリウス、」
 飛鳥達は出動に向けて変身をした。
 着ていた服が飛鳥、ことり、美羽は白色をしたブレザー、フェイトはまだ見習いなので黒色をしたブレザーに変わった。
 見た目はただのブレザーだが、この服は<防御服>と呼ばれ、高い防御力をもつ高性能素材でできているのだ。
 準備が整うと転送魔法で現場に向かった。

 夕暮れの鳳公園でトゥルーデ・カール・グリムが、飛鳥達をまっていた。
 「さあ、不幸を味わうんだねぇ。青の魔法使い」
 しばらくすると、転送魔法で飛鳥達が現れた。
 「そこまでだ、トゥルーデ。大人しく投降するんだ」
 「現れたか、管理局の犬ども……。投降するわけには行かないねぇ。“チョウラン”」
 トゥルーデの周囲の空間が歪み、そこから<ゴーレム>が8体現れた。
 現れた<ゴーレム>は、身長は2メートルほどで、全身茶色の救命胴衣を着たような体系、背中には太刀が装備されている。
 一方の飛鳥達は戦闘態勢に入るために、飛鳥は剣<ラクティス>、フェイトは槍<アトラス>、ことりと美羽は杖<ウィッシュ>をジョウント効果で呼んだ。
 それぞれのもとに、呼んだ<タクト>が現われた。
 飛鳥は剣<ラクティス>に淡い青色に輝く魔力の刃をまとわせ、フェイトは槍<アトラス>に黄色に輝く魔力の刃をまとわせた。これにより、攻撃力が飛躍的に上昇した。
 飛鳥達は<ゴーレム>の無力化に向かった。
 フェイトは一番近くにいる<ゴーレム>を槍<アトラス>で突き刺すが、<ゴーレム>の装甲により厚く弾かれてしまった。
 「こいつ、堅い」
 <ゴーレム>は拳を振りかざし殴りかかる。すかさず、フェイトは防御魔法陣“ヴァヴェ・サークル”を発生させ防いだ。
 <ゴーレム>の拳と“ヴァヴェ・サークル”がぶつかりあい、しのぎをけずる。
 すぐに、一進一退の状況に変化が訪れた。弱弱しく“ヴァヴェ・サークル”がスパークすると砕け散った。
 <ゴーレム>の拳の勢いは止まらずフェイトを向かうが、<ゴーレム>の腕が淡い青いのに発光する鎖に拘束され動きを封じ込められた。
 この鎖は飛鳥が拘束魔法“チカス・ルタシ”で生み出したのだ。
 「フェイト。力任せじゃダメだ。いつも僕が教えていることを、思い出してごらん」
 「いつも教えてもらってること……。分かったよ、飛鳥」
 フェイトは飛鳥との訓練を思い出した。
 それは、甲殻類系の魔法生物への対処方法。それは、間接を狙うか、打撃系で内部にダメージを与えるかだ。
 フェイトが使っているのは槍<アトラス>は、刺突を主としている。
 「はぁ」
 フェイトは槍<アトラス>で眼の前にいる<ゴーレム>の鎧のつなぎ目を狙い突き刺した。
 しかし、動力部に届かず<ゴーレム>は活動状態だ。
 「“ランヴ・ジラシ”」
 フェイトは槍<アトラス>を突き刺した状態で呪文を唱えると、槍<アトラス>の先端から矢の様な光弾が放たれ<ゴーレム>を貫いた。
 腹部を貫かれた<ゴーレム>は、糸の切れた操り人形のように倒れ動かなくなった。
 ことりと美羽も連携攻撃で<ゴーレム>2体の機能を停止させていた。
 フェイトを援護し終えた飛鳥は残りの<ゴーレム>を全て倒し終え、トゥルーデのもとに向かっていた。
 「トゥルーデ、大人しく投降するんだ」
 「さすがだねぇ。<ロヴァニエミ>のときといい、やっかいな存在だねぇ」
 そういうと、トゥルーデの前に若葉が現われた。首には、トゥルーデから持ったペンダントがかけられている。
 この<七色に輝く石>に輝く石は、魔導管理局の認識名称では<スレイブ・ストーン>と呼ばれている。
 <スレイブ・ストーン>は人間の脳波を微弱な電気信号で制御して、学習能力筋力を高め超人の様にする。そのかわりに、感情を奪い物言わぬ生体人形にしてしまうのだ。
 「さあ、目の前のヤツを殺すんだよぉ」
 「はい。トゥルーデ様」
 若葉は無機質な声で返事をすると、ナイフの一種ミセリコルデを構え飛鳥に襲いかかった。
 「あの娘は愛する者を手にかける。最高の結末になりそうだねぇ」
 そうトゥルーデはつぶやくと、白色の転送魔法陣を展開してその中に入っていった。
 若葉の一撃を交わした飛鳥はなぜか、剣<ラクティス>をジョウント効果でしまい非武装になった。それは、武器を持たず敵意が無いことを示すためだ。
 「委員長、やめるんだ」
 しかし、洗脳されている若葉に飛鳥の声は届かない。飛鳥はその後も呼びかけるが、若葉は飛鳥に能面のごとく無表情で切りかかるだけであった。
 飛鳥は徐々に追い詰められ林の中にきた。
 そして、飛鳥の背中に木かがぶつかった。飛鳥は完全に追い詰められてしまった。
 若葉は逆手でミセリコルデもち突進、飛鳥はギリギリまでひきつけて回避した。ミセリコルデは木に突き刺さり、抜けそうにない。
 飛鳥は若葉の背後に回り、<スレイブ・ストーン>でできたペンダントを外すと、若葉は意識を取りもどした。
 「あれ、工藤君。どうして、私はここに?」
 「委員長。これは、全部夢だよ。“ぺネセ”」
 睡眠誘導魔法“ぺネセ”で眠らされた、若葉は力なくその場に崩れさった。
 周囲の安全を確保するとことり達は飛鳥と若葉を残し帰還した。

 若葉は鳳学園の保健室で寝かされていた。もちろん、運んだのは飛鳥だ。
 しばらくして、若葉は眼を覚ました。
 「あれ? どうして、ここに」
 「貧血で倒れたみたいだよ」
 飛鳥は若葉が校内で貧血で倒れたことにした。
 飛鳥は若葉に今日のことは話さなかった。それは、事実を隠して秩序を守るために。
 「工藤君がここまで運んできてくれたんだ」
 「まあね。もう、遅いし僕が家まで送るよ」
 何を想像したのか、若葉は顔が若干朱色に染まった。
 「ありがとう……」


 『第06.5話 栗鼠の伝言』につづく

 あとがき
 読んでくれてありがとう。
 今回登場したトゥールデのモデルは、グリム童話『トゥルーデおばさん』のトゥルーデ。
 設定では各異世界で、人々を不幸にすることを目的としている。目的はあとで分かります。
 世界征服などは企んでいません。金銭的物理的に無理なので。
 
 次回は、都合により06.5話になったお話。
 魔法生物ラタトスクが登場。
 盗み聞きや、言葉のあやにはご注意を!

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