Eternalえぼりゅ?しょん!! 第02話 赤いマントの怪人

 第02話 赤マントの怪人

 遠い遠い昔、異世界はもともと一つの世界であった。いつの頃からか異世界は分裂し、多くの異世界が存在するようになった。
 クッキーを割ると無数の破片ができるように、それぞれの世界の大きさはさまざまであり、なかには魔法が存在する世界や、魔法が認められていない世界もある。
 そして、それぞれの世界は独立した歴史を刻み始めた。その世界の1つに、魔法否認知世界<ミズガルズ>がある。
 魔法否認知世界<ミズガルズ>は、現代社会なので魔法が認知されていない世界。
 なので空路には飛行機、海路には船舶、陸路には自動車や電車を利用し、離れた相手とは電話を使う現代社会。
 この現代社会において「私は魔法使い!」等と言ったら、世間からは白い目で見られてしまう。
 これは、そんな魔法否認知世界<ミズガルズ>を影で守る魔法使いの少年と少女の物語。


 今からだいぶ昔に魔法否認知世界<ミズガルズ>で、怪事件が発生した。
 これらの事件は、魔導管理局が残留魔力を調べ分かったで、紹介する事件中とのやり取りは推測である。
 黄昏時のあぜ道。青年が自転車に乗っていると、どこからともなく不気味な声が聞こえてきた。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 その声は、まるで地の底から響いているようであった。
 青年は不気味な声が、背後から聞こえたので青年は声のするほうを振り向くが、誰もいない。
 青年は空耳かと思い、また自転車を走らせた。
 しばらく進むと再び、どこからともなくさっきと同じ声がする。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 いったい、どこから? あたりに誰もいない……。周囲にあるのは、のどかな田園風景。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 謎の声はいまだに聞こえてくる。
 とうとう青年は苛立ち、謎の声に答えてしまった。
 「マント売りか? 赤いマントはいらんかねえよ。だからもうついてくるな」
 青年の横を風が通り過ぎると、青年の首筋から鮮血が噴出した。
 青年は何が起こったのかも分からず、糸の切れた操り人形のように倒れた。
 そして青年は赤いマントを着たかのように、自分の血液で染まり二度と動かなくなった。
 この事件は<謎の通り魔事件>として警察の捜査が進められたが、何も手がかりもなく事件は迷宮入りとなってしまった。
 <謎の通り魔事件>から3年後のことである。
 1人の少女が、薄暗い林の中を通り学校から帰っていると、地の底から聞こえるような不気味な声が聞こえてきた。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 3年前に起こった事件を知っていた少女は、怖くなって走り出した。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 それでも、声だけが少女を追いかけてくる。
 少女は息を切らしながら、問いかけに答えた。
 「赤いマントなんかいらない。だから、もう来ないで」
 「似合うかもしれない、ゆっくり着せてあげるよ」
 その声と同時に少女を中心に怪光が発せられ、赤い靴を片方残し少女の行方は分からなくなってしまった。
 <謎の通り魔事件>が最後に起こってから、大分月日が流れた。
 再び、魔法否認知世界<ミズガルズ>に赤マントの怪人が現代に現れた。

 工藤家に軽快な包丁の音が聞こえてくる。
 工藤飛鳥は台所で夕飯の支度をしてた。飛鳥は童顔で中性的な顔立ち、可愛い部類にはいる男の子だ。
 シーフードのミルクシチューに、鶏のささ身を湯でキャベツなどとあわせたサラダ、と次々に 飛鳥は次々におかずをつくりあげた。
 もちろん、シチューのルーもサラダのドレッシングも手作りなので低下カロリーだ。
 最後に飛鳥はデザートを作り始めた。
 マンゴーの種と皮を綺麗に取り除いた。そのマンゴーをボールにいれ、泡立て器で粗くつぶし、レモン汁を加えた。
 本来ならここで砂糖を入れるはずなのだが、飛鳥はマンゴーの甘味を活かすために入れなかった。
 その様子を横から飛鳥の幼馴染の蒼衣美羽が覗き込んだ。
 美羽は、髪は二つに縛ている女の子。美羽のなかでは、飛鳥と実姉であることりが結婚する予定なので、飛鳥をお兄ちゃんと呼んでいる。
 「お兄ちゃん、何を作ってるの?」
 「マンゴープリンだよ」
 「でも、なんでマンゴーなの?」
 「マンゴーは、ビタミンB1を多く含んでいて、糖質がうまく吸収されるんだよ。食物酵素も豊富」
 飛鳥の話を聞いて美羽は頭を抱え込んだ。
 「う?。難しい話は苦手だよ」
 「ゴメン、ゴメン。そいえば、今日は大分遅いな? 迎えにいったほうがいいかな」
 美羽は悪戯っ子の顔つきになった。
 「お姉ちゃんが心配なんだ。お熱いことで」
 「別にそういう分けじゃ……。ただ、僕とことりは……」
 飛鳥が回答に困り果てていると、工藤家に電子音が鳴り響いた。すぐさま、飛鳥と美羽は居間に向かった。
 すぐに飛鳥はテレビの電源を入れた。
 テレビには1人の人物が映し出された。このテレビは、異空間を航行中のソプラノ級次元巡洋艦<ダ・カーポ>と連絡が取れるようになっている。
 その人物の名前は、シリウス・シュトラウス。シリウスは飛鳥と同年齢で魔力・武道で互角の実力を持ち、頼れる兄の様な存在である。そして、次元巡洋艦<ダ・カーポ>のクルーでもある。
 「飛鳥、緊急の依頼だ。<ミズガルズ>に赤マントの反応が確認された」
 「分かったよ、シリウス。警戒してみるよ」
 美羽は赤マントが何だか分からないので、飛鳥とシリウスに聞いてみた。
 「お兄ちゃん、シリウスさん、赤マントて何?」
 飛鳥とシリウスは答えた。
 「昭和のはじめ頃に、東京を中心に出没した怪人で、その正体は<思念集合体>」
 「そして、進出奇没で、目的は傷害致死に誘拐だ」
 <思念集合体>は人々の思いが集まり、実体化・具現化したモノである。なので、負の思いから生まれた赤マントは、残忍無慈悲なのである。
 飛鳥と美羽はシリウスと情報の取りをして、パトロールに向かった。

 蒼衣ことりと朝霧若葉が委員会の仕事を終え、夕闇の桜花学園の校庭を通り校門に向かって歩いている。
 若葉はショートヘアーに眼鏡をかけ、ややきつい目をしている女の子。そして、飛鳥とことりのクラスの学級委員であり親友でもある。
 「すっかり、遅くなりなりましたね」
 「まったくよ。ことりはいいわよね?。素敵な旦那様が晩御飯作っていてくれそうだし」
 「そんなことないですよ。別に私と飛鳥くんは……」
 「私は一言も、工藤君のことはいってないわよ」
 ことりと若菜が仲良く会話をしていると、どこからともなくあの不気味な声が聞こえてきた。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 ことりと若葉は周囲を見渡した。校庭の中央付近なので隠れる場所はない。声の主はどこにいるのだろう。
 「ことり、何か聞こえた?」
 「私も聞こえましたよ。気味が悪いですね」
 ことりと若葉は悪寒がはしり、身震いをした。
 そして再び、不気味な声が聞こえる。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 「ことり。職員室に行こう?」
 「その方が良さそうですね」
 ことりと若葉が踵を返すと、赤マントが立っていた。
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 「なに、あいつ?」
 「赤いマント、赤いマントはいらんかね?」
 若葉が赤マントの問いかけに、答えてしまった。
 「すいません。私達そういうのは興味ありませんから」
 「そんなことない……。赤いマントを着せてあげるよ……」
 赤マントの手元に鉈が現れた。そして赤マントは鉈を構え徐々にことりと若葉の間合いをつめていった。
 そのとき、淡く青色に光る魔法陣が現れた。そこから、ブレザーに良く似た白色の<防御服>を着た飛鳥が、赤マントの前に立ちふさがった。
 「ことり、委員長のこと頼んだよ」
 飛鳥は若葉を睡眠誘導魔法“ぺネセ”で眠らせた。
 「任せてくだい」
 「ありがとう」
 飛鳥は感情抑制魔法“チズネス・ロウジュン”を唱え、右手の手のひらを広げ赤マントに向けた。
 飛鳥の右手の手のひらから淡い青色の光の粒子が現れ、赤マントを包み込んだ。
 「何をしている……」
 飛鳥が使用した“チズネス・ロウジュン”は感情を抑制する魔法、心を持たない赤マントには通用しなかったようである。
 飛鳥はまた力だけで相手を倒すしかないことに悲しい顔になった。
 「お前……、邪魔をするな……。お前から、殺してやる……」
 飛鳥は赤マントと戦うために、右手を天高く上げ愛用の剣<ラクティス>を呼ぶ呪文を唱えた。
 「分かったよ、赤マント。僕が相手になるよ。“タクト・チョウラン”」
 すると淡い青色の光の発光体が現れ飛鳥の右手に飛んでいき、その発光体が激しく光ると、グラディウス似た剣<ラクティス>が現れた。
 飛鳥は<ラクティス>を両手で持ち構えたが、剣<ラクティス>に刃がついていなく、ただの棒のようになっている。
 これでは何も斬ることができない。
 「刃が無いな……。玩具か?」
 突然赤マントは鉈を振りかざし、飛鳥に斬りかかってきた。
 「それは、どうかな? ストライクモード・セットアップ」
 飛鳥が唱えると、剣<ラクティス>に鋭利な淡く青色に輝く魔力の刃が現れた。これにより、剣<ラクティス>に攻撃力が与えられたのだ。
 飛鳥は剣<ラクティス>で赤マントの鉈を叩き斬った。
 周囲には赤マントの鉈の破片が飛び散った。
 「何……!?」
 大剣を破壊された赤マントは、慌てふためいている。
 「赤マント、大人しく思念に還るんだ」
 「投降はしたくない……。もっと血がみたい……」
 再び赤マントの怪人は飛鳥に、折れた鉈で切りかかった。飛鳥はバックステップで避け、赤マントに隙ができたので斬り込んだ。
 飛鳥は赤マントの下腹部を横に斬ると、斬られた箇所からは灰の様なものが零れ落ちた。
 「覚えていろ、私は……。また、帰ってくる。何度でも……」
 赤マントの背後に怪光が現れた。赤マントは逃げるつもりらしい。
 「美少女魔砲使い! 美羽を忘れちゃダメだよ」
 飛鳥の頭上で待機していた美羽が叫んだ。そのおかげで、動揺した赤マントの動きが止まった。
 「お前が……。美少女……? ふっん」
 赤マントは鼻で美羽を笑った。
 美羽が構える杖<ウィッシュ>にはすでにサッカーボールほどの桜色の光弾“ジッタヴ・ジャライ・ロウファン”が完成していた。
 美羽は魔力量が少ないので魔力をためるのに時間がかかるので、飛鳥と赤マントの戦闘開始の時から作っていたのだ。
 「あー! 笑ったな。こうなったら。シュート」
 かけ声と共に、杖<ウィッシュ>から桜色の光弾が放たれた。その反動で美羽は少し仰け反ってしまった。
 残念ながら美羽が放った魔力の光弾は赤マントから外れ、地面に着弾した。あたりは土煙に包まれた。
 土煙がはれるとそこには、赤マントの姿はなかった。
 「逃がしちゃったのかな?」
 「たぶん、そうだと思う。追跡はシリウスに任せよう」
 美羽は手を握り締め、悔しそうに怒鳴った。 
 「乙女の怒りは、まだ納まらない!」

 事件のあった現場では、ことりと若葉が何事もなかったかのように立っていた。
 「ことり。私達、何をしていたんだろう」
 「どうかしたの? 若葉ちゃん」
 「なんでもない」
 ことりは、若葉に悪いと思ったが本当のことを話さなかった。それは、全てはなかったことにする為である。
 「早く帰らないと、警察の人に補導されちゃいますよ」
 「委員長の私が補導されたら、遠坂のやつに笑われるわね」
 ことりと若葉が話していると、校門から懐中電灯を持った飛鳥が歩いてきた。
 「ことり、遅いからむかえにきたよ」
 「飛鳥くん、ありがとう」
 「いいわね、ことり。近くに優しい人がいて」
 飛鳥とことりが少し顔を赤らめ、飛鳥とことりが答えた。
 「そんなことないですよ」
 「そんなことないって」
 その様子を見て、若葉は羨ましそうに言った。
 「相変わらず、仲がいいのね」
 こうして、人知れず事件は解決した。


 『第03話 天女の羽衣』につづく

 あとがき
 読んでくれてありがとうございます。
 今回登場した赤マントは、学校の怪談と都市伝説など、さまざまなかたちで語り継がれる赤マント。今作のモデルは、都市伝説の方です。
 噂では、昔実在したとり今だったとか……。
 今後も不定期ですが、都市伝説系が登場します。お楽しみに!
 
 飛鳥とことりのクラスの委員長、朝霧若葉の初登場作品。
 今後も若葉は登場する予定です。
 ちなみに、飛鳥は保健委員、ことりは図書委員です。
 
 次回は、昔話や神話に登場するの天女の羽衣が登場します。

オンライン小説検索エンジンNEWVEL様の投票ランキングに小説を登録しています。
投票は月1回、ここからできます。
投票してもらえると、ランキングがあがるので励みになります♪

テーマ : 趣味と日記
ジャンル : 趣味・実用

コメント

非公開コメント

プロフィール

フェレットもどき

Author:フェレットもどき
初めまして、フェレットもどきです。
ヴァイスシュバルツについて書いたりしてます。

カウンター
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
宣伝
作品紹介
D.C.III P.P. ~ダ・カーポIII プラチナパートナー~ D.C.III R ~ダ・カーポIIIアール~ D.C.III Plus ~ダ・カーポIII~プラス D.C.III ~ダ・カーポIII~ D.C.I&II P.S.P. ~ダ・カーポ I&II~ プラスシチュエーション ポータブル T.P.さくら D.C.F.S. ~ダ・カーポ~ フォーシーズンズ D.C. P.S.~ダ・カーポ~プラスシチュエーション
今日のカード
リンク