Eternalえぼりゅ?しょん!! 第11話 人魚の秘薬


 異世界のなかには、魔法が存在し発展してきた世界がある。
 さまざまな魔法が生まれ、世界は豊かになっていった。
 だからといって、魔法は万能ではない。物が壊れれば修理をする、病気や怪我をすれば病院に行く、失った命は戻らない。
 魔法では不可能なことを、補うように科学・医学は発達していった。
 魔法は認められず、科学が発達していった異世界<ミズガルズ>を、影で守る魔法使いの物語……。


 可憐は事故で足に怪我をし、長いこと車椅子の生活である。
 学校の水泳部のメンバーからの励ましのエールを受けたが、歩けないかもしれない恐怖に負け歩こうとしなかった。
 こうして今日も、可憐は1人で車椅子で散歩をしている。すると、突風が吹き被っていた帽子が飛ばされてしまった。
 帽子は宙をまい、紫色のフリルの多い服を着た少女の足元まで飛んでいった。
 少女の名前は、サンドリヨン・ペロー。サンドリヨンは顔立ちとスタイルがよく、フリルに嫌味や嫌らしさがなくよく似合っている。
 「はい。帽子。遠くに飛ばされなくてよかったわね」
 サンドリヨンは、帽子についた土ぼこりを払い可憐に手渡した。
 「ありがとうございます」
 可憐が帽子を受け取ると、サンドリヨンは可憐の目を見つめた。
 「あなた、恐怖に負けているわね。やりもしないで諦めるのは、美しくないわよ」
 可憐は、サンドリヨンに聞いてみた。
 「どうして分かるんですか?」
 サンドリヨンは、悪戯っ子の笑みを浮かべていた。
 「私は、魔法使いだから」
 可憐はサンドリヨンにたいして不思議と安心感をいだき始め、自分の悩みを打ち明けることにした。
 「私は自由に歩きたいんです」
 「そう。じゃあ、これを飲んでみて」
 サンドリヨンの右手が光ると、可愛い形をしたガラスビンが現れた。そのビンには、ピンク色の液状の薬が入っている。
 「なんですか、これは?」
 「私の家に伝わる秘薬よ」
 「秘薬?」
 サンドリヨンは可憐に、秘薬を手渡した。
 「これを飲めば、歩けるようになるわよ。その代わりに、声が出せなくなるから」
 可憐は半信半疑のようだ。そんな、魔法みたいなことあるわけがない。
 「本当ですか?」
 「本当よ。それと長い時間海水に触れちゃダメよ」
 「どうしてですか?」
 「それは、あなたが泡になって消えしまうからよ」
 可憐はためらったが、秘薬を飲むことにした。
 「私、飲みます」
 可憐は一気に秘薬を飲み干すのを見ると、サンドリヨンはニヤリと唇を歪めた。

 翌日になると、可憐は散歩をしていた。今度は自らの足で歩き、歩ける喜びを満喫していた。その代わりに、可憐は声が出せなくなってしまった。
 散歩していると、可憐は鳳海岸に着いた。今日の海は、たいぶ荒れている。波打ち際に近づかなければ、危険はないだろう。
 しばらく鳳海岸沿いを可憐が散歩をしていると、人だかりができ何やら騒いでいる。
 騒ぎのする方へ可憐が行ってみると、沖で子供が溺れていたのである。近くでは溺れている子供の母親が、周囲に助けを求めている。
 可憐は助けに行きたい。だが今の可憐は、長い時間海水に触れると泡になってしまう。
 しかし、可憐は溺れている子供を、見捨てることができなかった。可憐は自分が死ぬ覚悟で海に入った。
 自分がどうなろうとかまわなかった、ただ子供を助けることで、可憐は頭がいっぱいだった。

 少し時間をさかる。工藤飛鳥とフェイト・クラウスは近所の鳳商店街に買い物に来ていた。
 飛鳥は幼さが残り可愛い部類に入る少年で、フェイトは金髪の髪をポニーテールにしている少女だ。
 2人の買い物の目的は、カレー南蛮の麺である。ちなみに、カレー南蛮というのは、カレー粉をだし汁で溶き、長ネギを入れ、片栗粉でとろみを物をうどんや蕎麦にかけた物だ。
 飛鳥の隣を歩く、フェイトは嬉しそうにきいた。
 「ねえ、カレー南蛮てどんな料理なの?」
 「簡単に言うと、カレーを麺にかけたものだよ」
 フェイトは「楽しみだな?。速く買い物を済ませちゃおう」と言って、飛鳥の手を引っ張った。
 「急いでも、材料は逃げないよ」
 買い物を済ませた飛鳥とフェイトは、そのままフェイトの気まぐれで鳳海岸を散歩することにした。
 しだいに潮の香りがし、波の音が聞こえてきた。
 「飛鳥、夕日が綺麗かな」
 「そうだね。夕日と一緒に一番星がみれるかも」
 2人が徐々に海に近づいていくと、海で子供が溺れているのに気がついた。飛鳥は手荷物をフェイトに渡した。
 「急いで、救急隊に電話して。僕は助けに向かうから」
 飛鳥は溺れている子供のもとに向かい、フェイトは携帯電話で救急隊に電話をかけた。

 可憐は溺れている子供のとこまで、泳いで行き子供を正面から抱えた。
 「もう大丈夫だから……。安心して」
 「助けて……」
 すると、溺れていた子供は暴れて可憐にしがみつき、可憐を海に引き込む形になってしまった。そのせいで、可憐も溺れてしまった。このままでは魔法により、可憐は泡になってしまう。
 可憐は声をあげて、助けを求めた。
 「お願い。この子だけでも、助けて」
 そのとき、飛鳥が可憐と溺れていた子供を海中から押しあげた。
 「2人とも、もう大丈夫だよ」
 可憐は飛鳥に、助けられてようやく気がついた。
 自分が泡にならずにいること、自分の足で立ち自由に話せることに。自分の足で歩こうとする、勇気が無かったことに……。
 可憐は、勇気をくれたサンドリヨンに感謝をした。そして、助けてくれた飛鳥にも。
 その後すぐに、溺れていた子供とその母親は、飛鳥と可憐に何度もお礼を言い、すぐに検査のため救急車で鳳病院に向かった。

 可憐と別れた飛鳥は、鳳海岸の防波堤のところにいたサンドリヨンのところに向かった。
 飛鳥とサンドリヨンは敵対関係。過去に飛鳥の住む世界とは別の魔法認知世界<ロヴァニエミ>で、2人は戦ったことがある。
 そして、サンドリヨンは魔法を使い悪事を働くトゥルーデ・カール・グリムに協力者なのだ。
 しかし、飛鳥は私服で非武装でサンドリヨンに近づいた。
 「喜んでたよ、君に勇気をもらったこと」
 飛鳥はサンドリヨンが可憐になにをしたのか分かっているようだった。
 「あら、そう。別に好きで助けたわけじゃないわ」
 「じゃあ、どうして?」
 「初めから諦めるのは、美しくないから。声を失う勇気と、命をかけて他人を助ける勇気はあったのにね」
 夕日に照らされる2人はしばらく見つめあった。
 「僕たちは分かりあえるかな?」
 「それはおどうかしら? 私達は敵同士よ」
 「こうして言葉を交わしているんだ。分かり合えるよ」
 「だと、いいわね」
 サンドリヨンは暗い顔になった。その表情はまるで、逆らえない何かに束縛されているように感じられる。
 サンドリヨンは帰るために転送用の紫色の魔方陣を展開させた。すると、飛鳥は帰ろうとするサンドリヨンを呼び止めた。
 「まって、名前。僕の名前は、工藤飛鳥。君の名前は……」
 サンドリヨンは振り返り、月明かりの様な銀色の髪をなびかせた。
 「サンドリヨン・ペロー。サンドリヨンでいいわ」
 サンドリヨンはすぐに踵を返して、展開させておいた転送用の魔方陣に入った。その時のサンドリヨンのは、どこか嬉しそうだった。


 『第12話 お菓子の家』につづく

 あとがき
 読んでくれた人ありがとう♪
 今回登場した筑紫可憐の名前の由来は、山桜の野生種、筑紫桜。童話『赤い靴』の主人公カーレン。
 カーレン⇒可憐(かれん)
 結構、安直な名前……。
 そして、ファンタジーなのにメインで魔法は出て来ませんでした。
 誰もができる、勇気のでる魔法(きっかけをつくる)は出ましたけど。
 
 次は『トゥルーデおばさん』がモデルにしたトゥルーデが登場します。


Eternalえぼりゅ?しょん!! もくじ


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